
プライマーとは?防水材をしっかり密着させる「下塗り材」の役割を解説
防水工事の説明や見積書の中でよく聞く「プライマー」。
一言でいえば、防水材や塗料を下地にしっかり密着させるために最初に塗る「下塗り材」です。 目立たない工程ですが、防水層の寿命を左右する、とても重要な役割を持っています。
- プライマーとは何か、防水工事でどんな役割を持つのか
- ウレタン防水・FRP防水・シート防水との関係
- プライマーを塗らない/不足した場合に起こる不具合
- ビル・マンションの大規模修繕でプライマーが重視される理由
プライマーとは?(下塗り材)
プライマーとは、防水材や塗料を下地にしっかり密着させるために最初に塗る「下塗り材」のことです。
コンクリートやモルタル、金属などの下地は、そのままでは防水材が付きにくく、剥がれやすい状態になっています。
そこで、防水材を塗る前にプライマーを塗ることで、下地の表面を整え、密着性を高めます。
目に見えにくい工程ですが、防水層が長持ちするかどうかを左右する、とても大切な“接着の土台づくり”です。
プライマーが必要な理由
① 防水材・塗料をしっかり密着させるため
下地の種類や状態によっては、そのまま防水材を塗ると、すぐに浮きや剥がれが起きてしまいます。
プライマーは下地表面をコーティングし、防水材がしっかり噛みつくための“ノリ”のような役割を果たします。
② 仕上げ材の耐久性を大きく左右する
プライマーが不足していたり、塗りムラがあると、仕上げの防水層が部分的に浮いたり、ふくれが出たりします。
きちんと塗られたプライマーは、防水層の寿命を延ばし、長期的な維持管理コストの低減にもつながります。
③ 下地の状態を安定させる
ひび割れや劣化がある下地は、部位によって塗料の吸い込み方が違い、仕上がりにムラが出やすい状態です。
プライマーを塗ることで、吸い込みムラを抑え、表面を均一な状態に整えることができます。
プライマーの基本的な役割
プライマーには、主に次のような役割があります。
- 防水材・塗料の密着性を高める
- 下地表面を整え、吸い込みムラを抑える
- 防水層の浮き・剥がれ・ふくれを防ぐ
- 防水材の性能を最大限に発揮させる土台を作る
プライマーを塗らない場合に起こる不具合
もしプライマーを塗らなかったり、必要な量よりも少なく塗ってしまった場合、次のような不具合が起きるリスクがあります。
- 防水層が短期間で剥がれる・浮く
- 表面にふくれ(膨らみ)が現れる
- ひび割れ部分から雨水が浸入し、建物内部を傷める
- 想定していた耐用年数より早くやり直しが必要になる
防水工事のトラブルの多くは、下地処理とプライマー不足が原因と言われています。
逆に言えば、下地とプライマーを適切に行うことで、仕上げの防水層を長持ちさせることができます。
ビル・マンションの大規模修繕で重視される理由
ビル・マンションの屋上や共用部は、築年数や環境によって下地の状態が大きく異なります。
ひび割れ・劣化・汚れ・既存防水の状態などをしっかり確認したうえで、部位ごとに適したプライマーを選定することが大切です。
管理会社様やオーナー様にとって、プライマーの理解は、見積もり内容の比較や、施工品質のチェックに役立つポイントになります。